インタビュー

 

各作品毎回美味しそうな食べ物が出てきます。榎田先生の作品の特徴のひとつだと思います。交渉人は下町らしいメニューがよくでていますが、作品によって意識されているのでしょうか?

まあ実際は、現在の両国や錦糸町ってそれほど下町ではなかったり……(笑) 
いわゆる谷根千あたりに比べたら、外観的な下町風情はさほどないです。大きいビルがばんばん建ってるし、ふつうに都会です。
ただ、住んでいる人たちの中に下町気質的なものはあるだろう、あるといいな、少なくともうちのばあちゃんにはあったな、と。

で、食べ物なのですが、あの人たちが食べているのは下町的というより家庭料理なんですね。ごく普通の家庭料理。鍋やったり、たまにはピザも取ったり。
つまり彼らは疑似家族であって、これは私がたびたび書くテーマであり、かつ一生書くテーマなのかなとも思います。
家族だから、家庭料理になるわけです。
……たぶんそうなんじゃないかな。
意識して書いてはいないので、あとづけの理由っぽい気もしますが(笑)

このシリーズでは毎回ベースとなる事件があります。作品を執筆される場合、ベースとなる事件をどういうふうに決めているのか、ぜひ教えてください。

時事ネタや、見聞きしたネタの中から、プロットを作りやすいものを選出します。
事件をメインにしてしまうと、BLとしてどうよということになるので、そのあたりのバランスに気をつけるようにしています。

『交渉人』シリーズの男性キャラクターを夫、恋人、父親、息子、弟、従兄弟、友人、上司、部下に当てはめてください。その理由も教えてください。

ん?
イメージでいいんですよね?
自分の理想とかじゃないよね。
理想の夫はこのシリーズの中にはいないですよ、私(笑)
あくまでイメージでいえば、

夫:思いつかない……
恋人:伯田さん。最強だもの。
父親:紀宵。家族はしっかり守ってくれそう?
息子:警察官の正義くん。いい子じゃないか〜
弟:満雄。弟の勤めるホストクラブに遊びに行けます。
従兄弟:芽吹。いろいろ大変そうな人は、少し距離のあるところにいたほうが(笑)
友人:アヤカとラニーちゃん、ここは鉄板。
上司:兵頭。いい上司だと思う。
部下:松本さん。よく働くよ、彼。

芽吹と兵頭のお気に入りの台詞がありますか? ありましたら教えてください。

芽吹:「最初は弱かった奴のほうが、ずっと強くなれるんだ」
兵頭:「俺が出した乳首だから俺がしまってんです! 文句ないでしょうが!」

本を捲ってみて、兵頭のほうが名台詞が多いことに気がつきました。
「名前も書いてあるぞ。すげえ奥のほうにな」もお気に入り。

「このシーンは苦労した!」というシーンがありましたら理由を教えてください。

シーンというか、今回の『嵌められる』『諦めない』の二冊は、芽吹がどんどん追い詰められていく上に、兵頭とあんなことになってしまうので、書いている方もやや凹みましたね(笑)そのぶん、ラストに近づくにつれて自分もわくわくしてきましたが。

12月に発売予定の作品がどんな作品になるのか、よければ少し教えてください。

おまちどおさまの、紀宵と智紀ですよ〜。
詳細はまだ未定ですが、キヨの本職のほうも垣間見える作品にしたいなと考えています。

読者のみなさまにメッセージをお願いいたします!

早いもので、交渉人シリーズも五冊となりました。……いや、そんなに早くないのかな。刊行ペースはわりとゆっくりでしたね(笑)
とにもかくにも、ここまで来られたのは読者様の存在あってのことです。心から御礼申し上げます。
さて、2010年をもちまして、私の作家生活も10年になりました。10年間、楽しくて忙しくてあっというまでした。その10年の中でも、芽吹と兵頭はとりわけお気に入りのキャラクターとなっています。また、おかげさまで読者のみなさまにもとてもご好評いただいているようです。お手紙やメールなどで「両国に行けば芽吹に会えそうな気がします」というお言葉をよくいただきます。作家冥利に尽きるというもの……! 本当にありがとうございます。
交渉人シリーズは、このあとはスピンオフが一冊、さらに2011年には、再び芽吹と兵頭に戻りもう一冊を予定しています。
どうぞ最後まで、おつきあいくださいませ。
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