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2004年10月28日に『弟の親友』で小社においては初めて椎崎先生の1冊目を出させていただきました。今回、ついにSHY NOVELS 10作目『臆病なキス』2010年4月28日発売になりました。そして11作目となる『ひとでなし』2010年5月下旬発売の連続発売を記念して、『10 to 11~椎崎夕先生特別企画』を開催します!

SHY NOVELSデビューから『臆病なキス』で10作目となる椎崎 夕先生に、
デビューから最新作についてインタビューにお答えいただきました!



Q.10作目『臆病なキス』の発売おめでとうございます! まず10作目という節目を迎えられた、いまのお気持ちを教えてください。
ちょうど『臆病なキス』が届いたので、10冊を目の前に並べてみました。
本当に10冊なんだと実感が湧きました。正直、ここまで続くとは思っていなかったので、何だか凄いなあという気分です。


Q.とても綺麗な響きのペンネームですが、由来を伺えますか?
名前そのものは学生の頃に何かの企画で作ったもので、「椎」という文字を意識して使ったくらいしか記憶にありません。
実は小説を書く時のPNはこれとはまったく別物で、本来ならこれを使うはずではなかったんです。「どうせ書き逃げだから今回きり」のつもりでPNを差し替えて投稿した原稿が賞をいただいてしまって、そのまま……という経緯です。なので、現在このPNでお仕事していること自体が何となく奇妙な感じです。


Q.『弟の親友』から6年、変わったこと、変わらなかったことはありますか?
原稿の書き方と意識は変わったんじゃないかと思います。相変わらず亀ですが、多少はペースアップしましたし。
書くものの根っこの部分は、たぶん殆ど変わっていないんじゃないかと…投稿時代から原稿を読んでくれている友人に、つい先日それらしいことを言われましたので。


Q.椎崎先生がBLに出会ったきっかけと、「BLを書こう!」と決意したきっかけを教えてください。
手当たり次第に乱読していた頃に友人から借り受けた本がそうだった、というのが最初の出会いです。
初めて書いたBLは、確か上述の投稿作だったはず。当時は「その時に書きたいものを好き勝手に書く」やり方だったので、何も考えずにするっと書きました。


Q.作品には弟、親友、保護者などとても親密な関係が登場しますが、やはり椎崎先生にとって特別なポイントなのでしょうか?
たぶん、「裏返る」状況が好きなんだと思います。知っているはずのことが実際にはまるで違うことに気がついた後の、さあどうしよう、という感じとか。人物同士の距離が近ければ近いほど落差が出やすいので、何となくそうなっているのかも。
個人的には「裏返った先の袋小路に迷い込んだまま途方に暮れて終わり」という話も好きで、昔はよく書いていた覚えがあります。


Q.椎崎先生に一番近いキャラクターと一番遠いキャラクターを伺えますか?
近い…誰も近くない気がしますが。『好きと言えない』の晴の、どん底まで落ち込んでるのにさらにその底に自分で穴を掘って埋まるようなところは、昔の自分にもあったように思います。
遠いのは『水底の月』のコンラートでしょうか。苦労も敵も多そうだけどあそこまで素直で奔放だと人生楽しいだろうなあと、書きながら思った覚えがあります。
番外で、まったく理解不能なのは『ひとでなし』の里見。趣味といい思考回路といい、つくづくわからない。


Q.いままでの作品で印象深いシーンやキャラクターを教えてください。
原稿中にイメージが映像が出ることはまずないのですが、数少ない例外が『優しい檻』の冒頭のドカ雪場面と、『非保護者』の三島の工房風景です。とはいっても風景のみですが。
キャラクターの中では、『好きと言えない』の柚木慶司。指摘をいただいて初めて、ああいうのを「ムッツリ」と言うのだと認識しました。
後は別枠で、『ひとでなし』の里見と長峰を上げておきます。


Q.作品を創造するうえで大切にしていること、もの、言葉をあげるとしたら?
最大限にきれいな形に作ること。一定の流れとリズムを保つこと。過剰にならず、神経質になり過ぎないこと。
とても抽象的ですが、現在進行形での目標です。


Q.椎崎先生にとってBLとはなんですか?
恋愛小説、だと自分に言い聞かせながら書いています。…でないと時々恋愛部分が後ろに回って逃げそうになるので。





Q.椎崎先生が好きなこと、もの、言葉を5個あげるとしたら?
早朝にドライブに行くこと・某神社の朝の空気・某所の椎の木・延暦寺の月光菩薩・榊原紫峰(の絵)。


Q.椎崎先生が嫌いなこと、もの、言葉を5個あげるとしたら?
嫌いというか、苦手なものでよければ。
偏頭痛・人込み・スプラッタ映像・ジェットコースター・時計(どういうわけか身近に置くと必ず狂うか壊れるかします)


Q.目の前に困難な壁が立ちふさがっているとき、正面突破、遠回り、上るなど、どのように乗り越えますか?
正面からぶち当たるのではなく、適度な距離を持って観察した上で、上下左右に隙間を見つけてすり抜け…られるようになりたいと希望しながら修行中です。


Q.旅行に行きたいところはどこですか?
屋久島に縄文杉を見に。…と言うたび友人に「あんたは絶対そこまで辿りつけない」と断言されるので、次点で弥陀ヶ原ホテルで連泊。


Q.ご自分を動物にたとえると?
思いつかなかったので、友人に聞いたら「パンダ」と即答されました。友人曰く「直感」だそうです。


Q.好きな本・映画・音楽と好きな理由を教えてください。
北村薫さんの作品は、物語の形がとでも好きです。文章では、連城三紀彦さん。特に「どこまでも殺されて」という本の桜の描写がもの凄く好みでした。
映画は疎い上にあまり観ないのですが、挙げるしたらオードリー・へプバーン主演の一連の作品。
音楽は「好き」だと思ったものを手当たり次第なので、ジャンル問わずで。BGM扱いが殆どで、あまり真面目に聴いていない気もします。


Q.『非保護者』『優しい檻』では陶芸、彫刻、絵画、『親友と恋人と』では天文観測と様々な分野が登場しますが、椎崎先生ご自身の興味が反映されているのですか?
知識のない門外漢ですが、美術館巡りは好きでよく行きます。器売場やギャラリーも好きで、よくうろうろしております。
三嶋が作る器、常盤の彫刻、樹の絵に特定のモデル作品はありませんが、何となくイメージはありますので、そういう意味ではおそらく趣味丸出しかと。
『親友と恋人と』の天文観測は、奈良の山奥で声がなくなるような星空を見たのがきっかけで。ちなみに本が出たずいぶん後で弥陀ヶ原で天体観測をする機会がありまして、上には上があるということを知りました。


Q.読者のみなさまへメッセージをお願いします!
これで最後かな、もう無理かなと思いながら、いつの間にか10冊に辿りつくことができました。
それもこれも、気長~におつきあいくださった皆様のおかげと心より感謝しております。今後もおつきあいいただけますよう、精進していきたいと思います。
本当に、ありがとうございました。